ChatGPTの登場を機に、生成AIという言葉が世の中に浸透してきました。eスポーツなどさまざまな新規事業に取り組む株式会社QTnetのYOKAプロ部では、2019年からAIを活用した新規事業をスタート。現在、法人向けマルチ生成AIプラットフォームやAIカメラの実証実験に取り組んでいます。活動内容やAIが秘める可能性などについて、同プロジェクトの田上さんが語ってくれました。
AI事業プロジェクトでは、AI(人工知能)に関する新規ビジネスを手がけています。スタートアップ企業との協業により、法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI(キューティ・ジェン・エーアイ)」※を開発。福岡市と大分銀行様の協力のもと、実証実験を行っています。
※「QT-GenAI」サービスについて、詳しくはこちら
をご覧ください。
「QT-GenAI」の優位性は、生成AIに慣れていない方でも簡単に利用できる点です。スライド資料の構成、文章校正、翻訳、SWOT分析など、多種多様なテンプレートをあらかじめ用意。利用者は必要な項目を埋めるだけでよいため、長々とテキストを入力して質問を作る手間が省けます。また、Google社とMicrosoft社の2つのAIモデルに対応しており、今後も複数のモデルを追加していく予定です。QTnetが誇る高品質の通信網を経由するプランも予定しており、セキュリティ面の安全も確保できます。
その一方で、プロバスケットクラブの広島ドラゴンフライズさまとの協業で、AIカメラの実証実験も進めています。試合会場に設置したAIカメラで観戦者さまの属性を分析し、性別や年齢層などを判別。どのような方が多く足を運んでくださっているかなど、これまで肌感覚でしかわからなかった情報を数値化しています。
「QT-GenAI」の業務において、私はテンプレートの作成に加え、生成AIの理解を深めていただくための活動も行っています。興味をもっていただいたお客さまを対象にセミナーを開き、生成AIでできることや使い方といった基礎的なことを説明しています。さまざまな職種の方がいらっしゃるので、それぞれの活用シーンを想定した説明が欠かせません。お客さまの生成AIに対する意識が変わり、導入を検討していただいた時は、私の思いが伝わったのだと嬉しく思います。
AIカメラの業務では、実際に私自身、試合会場で機器の設置や観戦者さまへの案内を担当しています。そして、収集データの精度やAIカメラの使いやすさなどを協業会社にフィードバックし、機能のブラッシュアップに繋げています。2023年の開始当初は、機器の設置に何時間もかかるなど苦労が絶えませんでした。新規事業ならではの生みの苦しみがありますが、そのぶん、徐々に改善されていくことで達成感を味わうことができています。
ほかにも、九州産業大学で、ChatGPTの使い方などAIに関する実践的な授業を行っています。また、九州工業大学とのICT技術を活用した無人店舗の実証実験にも参加しています。このように、業務のなかで地域の学生の皆さんと直接交流できるのは、九州に根を張るQTnetならではの魅力だと思います。
近い将来、AIは私たちの生活になくてはならない存在になるでしょう。AIにできることはAIに任せ、そのぶん自分のやりたいことに時間を使えるようになるはずです。そんなAIの技術は、現在、目覚ましい進歩を遂げています。自分が担当しているセミナーでも、実施した翌月にはもう新たな技術が付加されているということも珍しくありません。開発企業の公式情報、論文などにしっかり目を通して、常に最新情報をキャッチするように努めています。
今後は、生成AIを活用したデータ解析に挑戦したいと思います。収集したデータをもとに、マーケティング戦略の策定や商品開発など、お客さまが新たな付加価値を見出すお手伝いができたらいいですね。また、QTnetは通信回線を提供する会社ですが、その先のサービスとして、生成AIを組み合わせた新たなインフラを開発したいです。LINEのように、私たちにとって身近なインフラを作ることができたらと考えています。
私が所属するYOKAプロ部のネーミングは、「Yes OK Agree」の頭文字と、福岡の方言「よか(よい)」に由来しています。部署内では、「失敗しても“よか”」というチャレンジ精神が尊重されているので、失敗を恐れずにAI事業に取り組んでいきたいと思います。
2023年に実証実験がスタートした「QT-GenAI」は、すでにトライアルだけでも多くのお客さまから引き合いをいただいています。「AIを活用することで、これまで以上に生活の質や仕事の生産性が向上します」と、力強く語ってくださった田上さん。今後、YOKAプロ部が手がけるAI事業が、私たちの暮らしにどのような変化をもたらしてくれるのか、期待に胸が高鳴ります。