最近は「オーガニック(有機)」という言葉がよく聞かれるようになってきましたね。皆さんは「オーガニック」ってどのようなものかご存知ですか?人や環境にやさしく、農薬や化学肥料を使わない、健康的なイメージがあるのではないでしょうか?私はオーガニックがもっと身近に、もっと広がったらいいなと思い、オーガニックに特化した都市型マルシェ「福岡オーガニックマルシェ」を主催しています。今回はオーガニックについてご紹介しますね。
オーガニック発祥の地はヨーロッパです。もともとはビジネスとしてではなく、社会運動として始まりました。1920年代、化学肥料や農薬を使った近代農業が導入されその後本格化していきましたが、1960年代にはレイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」に代表されるような化学肥料や農薬による環境汚染、健康被害が世界中で露呈し始めます。農業の化学化に異を唱えたヨーロッパ中の農民が有機農法を提唱する先生を招き、当時のドイツ領に集います。ここから、最初は小さな集会だったものが、たくさんの個人・企業・組織などを巻き込み、オーガニックムーブメントへと発展したそうです。
オーガニックには「健康」「生態系」「公正」「配慮」という4つの原理があります(IFORM(国際有機農業運動連盟)より)。「健康」と「生態系」は最近特に注目されていると思いますが、「公正」「配慮」はどういった意味を含んでいるのでしょうか。「公正」では有機農業に関わるすべての人が「公正な関係で結ばれ、すべての命が質、量ともに十分な食事を摂り、より良い生活が提供されるべきだ」と主張されています。これは動物福祉の考えのベースにもなっており、さらには今生きる私たちだけがフォーカスされるのではなく、私たちの子どもの世代やその次の世代にまで美しい自然を残していく、また資源や命を託していく必要があるとしています。有機の世界でも、生産性や効率を目指していますが、ここで大切になってくるのが「配慮」です。使用される技術や、技術開発が「決して誰かを苦しめるものではないこと」「すべての命がよりよく生きられる技術であること」そういった技術を選び、開発していきましょうという理念が根底にあります。つまり「公正」と「配慮」があって初めて「健康」や「生態系」に繋がっていくのです。
オーガニックは本来、「人間が自然のものを食べて生きる」という根本的な仕組みを表しています。最近ではオーガニック志向の人も増え、大手小売店でもオーガニックを取り扱う量が増えてきました。人は食を介して自然とつながっています。より健康になるために、健全な自然環境から産み出される食を選んでみませんか。その先に持続可能で豊かな未来があるのではないでしょうか。
プロフィール
食育プロデューサー。一般社団法人The Organic Days 代表理事。“Food・Health・Education”をテーマに、イベントや講演会を多数企画。オーガニックハーブティーなどオーガニック商品のプロデュースも手がけ、子供たちの食を考える「ふくおか食育の会」の代表も務める。またオーガニック食材を日常のものにするために2019年の秋より福岡・天神にて「福岡オーガニックマルシェ」をプロデュース、好評を博す。持続可能な社会を目指す取り組みの1つとして「オーガニック」の普及を地元企業と連携して進めながら、学校給食でもより安心安全な食材を使用できるよう活動を続けている。
https://sola-organic.com/