「森林浴」
「お笑いを見る」
「手の消毒」
冬はクリスマス、お正月、受験など大切なイベントが多い季節。元気に冬を乗り切るために、感染症に負けない体を作っておきたいですね。運動をして体力をつけ、栄養をしっかり摂り、十分な睡眠をとることが、強い体づくりの基本です。今回はさらに、風邪の予防に役立つことについてご紹介します。
では、答えはどうでしょうか。
森林浴、お笑いを見る、手の消毒という3つの選択肢は、すべて風邪の予防に効果があり、中でも体内での免疫細胞を増やす効果があるものが森林浴です。
笑いが免疫を上げるということは、多くの人がご存知かもしれません。あるお笑いのライブを見に行く実験に参加した人たちは、ライブに参加する前よりも後の方でNK細胞が明らかに増えていました。また、手をアルコールで15秒消毒すると、手についた病原体を10000分の1に減らす効果があります。外出から帰宅した時や、食事の前などには手洗いとうがいも合わせて行いましょう。
そこで今回は、森林浴の驚くべき免疫効果についてお伝えします。
森林浴といえば、リラックス効果やストレス軽減効果が有名です。しかし、実は免疫力を上げる効果がいくつも報告されているのです。
日本医科大学で行われた研究では、都会に住む12人を対象に、2泊3日で森林をゆっくり散歩してもらった場合と、2泊3日の街中の観光旅行に行った場合で、免疫細胞の増減を比較しました。
その結果、森林浴をした後は行う前に比べてナチュラルキラー細胞(NK細胞)という免疫を司る白血球の一部の数が40%も増えていましたが、街中で観光旅行をした後では、このようなNK細胞の変化は認められませんでした。さらに、森林浴をした人たちは、1ヶ月後に測定してもNK細胞が森林浴前に比べて15%も多いままだったのです。
日帰りの森林浴でも同様にNK細胞の活性化が見られ、その効果は1週間持続していました。
NK細胞は、白血球の一種です。血液と共に人の全身をめぐり、ウイルスに感染した細胞や癌細胞に指令を送って自滅させる働きがあります。このNK細胞は年齢や有害物質、そしてストレスによって数が減ってしまいます。
森林浴を行うと、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの値が大幅に下がります。NK細胞が増える一つの理由は、自然の環境の中にいるとストレスが軽減するからだと思われます。さらに、森林にはフィトンチッドと呼ばれる物質があります。樹木や土から漂ってくるこの匂いを嗅ぎ取ることによっても、NK細胞が増えます。
できれば月に1回程度森に行って、木々や土の香りを楽しみながらゆっくり歩くのが効果的です。近くの公園に行ったり、ガーデニングをしたりすることもNK細胞を増やして感染症にかかりにくい体を作るのに役立ちます。
40℃のお湯に20分浸かる
お風呂の入り方でも免疫力を上げることができます。ヒートショックプロテインという熱によって増えるタンパクがあります。このタンパクには免疫増強作用があります。
40度のお湯に20分浸かると、ヒートショックプロテインが増加します。入浴の約2日後が増加のピークとなるので、週に3、4回ほどこの入浴法を行うのが効果的です。
医学博士、内科医、脳神経内科医、抗加齢医学専門医、産業医、米国神経学会会員。
現在、医療法人社団如水会今村病院に勤務。人々が幸せと健康づくりを楽しむ社会を目指し、診療活動を続けながら執筆やセミナー活動を行なっている。「ホンマでっか!?TV」や「Z I
P!」などのテレビ出演も多数。著書に「やせる呼吸」「こうすれば夜中に目覚めずぐっすり眠れる」「死ぬまで若々しく元気で過ごすための賢い食べ方」「『やめられない』を『やめる』本−脱・依存脳」などがある。