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大人のライフスタイル

2024年7月

「夏旅行を
とことん楽しむ!
熱中症予防の重要ガイド」

クエスチョン

旅行中、熱中症になりやすい行動はどれ?

朝食の食べ過ぎ

前夜の飲み過ぎ

ホテルの室温の下げ過ぎ

画像:旅行に出かける家族

夏は旅行に最適な季節ですね。しかし、熱中症には気をつけないといけません。
熱中症は、気温や湿度が高い環境に長くいることで、体温が高くなり、体温の調節機能が働かなくなることです。
症状は、立ちくらみ、強い疲労感、頭痛、痙攣、失神などがあり、重症の場合は死に至ります。
熱中症になった場合、不慣れな地域で医療機関を探すことが難しく、治療が遅れる場合もあります。できるだけ熱中症にならないように予防して、万全の体調で旅を楽しみたいですね。
今回は旅先での熱中症予防のポイントを紹介します。

アンサー

では、答えはどうでしょうか。

答えは・・・2の「前夜の飲み過ぎ」

旅行先では、美味しい食事と楽しい会話でついついお酒の量が増えてしまうかもしれません。しかし、夏の夜の飲み過ぎは熱中症になるリスクを上げてしまいます。
飲酒すると利尿作用で体内の水分が通常より多く排出されます。翌朝、顔は浮腫んでいても、血管内は水分が足りなくなっているのです。すると、翌日出発する時はすでにプチ脱水になっているので、暑い屋外を歩き回っていると汗と一緒に水分と塩分が出て行き、高体温で脱水を起こし熱中症になるのです。夏の旅先でお酒を飲む時は、適正な飲酒量を守るようにしましょう。適正な飲酒量とは、男性は日本酒1合、ビール ロング缶1本、ワイン200ml、女性ならその半分の量です。

飲酒の他にも、旅先での熱中症を予防するポイントがありますのでご紹介します。

point1朝食を抜かない

画像:朝食

熱中症予防と言えば水分摂取ですが、飲み物を飲むことだけが水分摂取ではありません。私たちは1日に必要な水分の約半分を食事から摂っています。3度の食事から吸収する水分は約1000ml。もし、朝食を食べなければその1/3である約330mlの水分を摂らないことになります。
また、食事で水分を補うと、電解質も補給することができるため、水だけ飲むより効率的に吸収できます。 旅先の朝食を楽しんでから出発しましょう。国内旅行なら朝は和食がおすすめです。ご飯には水分量が多く含まれていますし、味噌汁の塩分、野菜の食物繊維、魚や納豆などによるタンパク質によって、腹持ちが良くエネルギーのバランスも良好です。

point2寝不足にならない

睡眠不足だと熱中症になりやすいと言われますが、なぜでしょうか?質の良い睡眠によって自律神経が整います。自律神経には、体温調整の機能があります。ですから、睡眠不足によって自律神経が乱れると体温調整が上手くいかなくなります。
ある研究報告では、4時間睡眠の人と7時間睡眠の人を比べると、4時間睡眠の人の方が日中の体温が高く、発汗量が多くなっていました。体温上昇と発汗の増加は、熱中症を招きます。
また、睡眠不足は疲労を強くし、ネガティブ感情を増加させます。せっかくの旅行ですから、睡眠をしっかりとって熱中症を予防し、1日中元気で明るい気持ちで過ごしましょう。

画像:寝起きの様子

point3下痢をしたら水分を頻回に摂取する

画像:水を飲む様子

旅先では、普段と水や食べ物が変わってお腹を壊してしまう方もいます。下痢になっているときは、水を飲むのを控えるという方がいますが、それは間違いです。下痢はかなりの水分を失います。下痢による脱水は、熱中症のリスクとなります。
ただ、確かにたくさんの水を飲んでもすぐにお腹が痛くなって排出するかもしれません。そんなときは、少量の水を頻回に飲んで、少しずつ胃腸から水分を吸収させるようにしましょう。

熱中症になったときの対処

・自分以外の場合、意識が朦朧としている、または返答がおかしいときにはすぐに救急車を呼びましょう。
・風通しのいい屋外の日陰か、冷房の効いた室内に移動しましょう。
・衣服を緩め、足を高くして横になりましょう。
・スポーツドリンクなどを飲みましょう。自分以外の人で、飲めそうにない場合は無理に飲ませないよう気をつけましょう。
・脇の下やそけい部を、保冷剤などで冷やしましょう。

解決のためのワンポイント

隠れ脱水をチェック! 熱中症になりやすい状況だと感じたら、脱水の兆候を
早めにチェックしましょう。 簡単なチェック方法はこれです。

親指の爪をつまむ

画像:親指の爪をつまむ様子

1.一方の親指の爪を、もう片方の親指と人差し指でつまみます。
2.爪の色が白くなったら手を離します。
3.白くなった爪の色がピンク色に戻るまで3秒以上かかったら、脱水の可能性があります。
水分と塩分を摂取し、早めに休憩をとりましょう。

画像:山下あきこさん
山下あきこ(やました・あきこ)

医学博士、内科医、脳神経内科医、抗加齢医学専門医、産業医、米国神経学会会員。
現在、医療法人社団如水会今村病院に勤務。人々が幸せと健康づくりを楽しむ社会を目指し、診療活動を続けながら執筆やセミナー活動を行なっている。「ホンマでっか!?TV」や「Z I P!」などのテレビ出演も多数。著書に「やせる呼吸」「こうすれば夜中に目覚めずぐっすり眠れる」「死ぬまで若々しく元気で過ごすための賢い食べ方」「『やめられない』を『やめる』本−脱・依存脳」などがある。