Vol.3
世界チャンピオンからおいしいコーヒーの淹れ方を学ぶ

コーヒーの香りに包まれると、幸せな気持ちになると思いませんか?

一杯ずつ(自分なりに)丁寧に淹れたコーヒーなのに「今日はおいしくできた」「いつもより雑味が出てる」など、

粉のグラム数、お湯の温度・量、粉を蒸らす秒数

粉のグラム数、お湯の温度・量、粉を蒸らす秒数

が毎日一緒だったとしても「その日の室温や湿度によっても味は変化するんです」と教えてくれたのは、福岡県にある「豆香洞コーヒー」の店主で、焙煎の技術を競うコンテストで世界一に輝いた経歴を持つ後藤 直紀さん。

後藤さんからの一言

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後藤さん

プロの作業をすべて取り入れるとコーヒーがおいしくなると誤解している人が多いけど、100人いたら“100通りのおいしい”があるほど、味の好みは人それぞれ。
自分で淹れるコーヒーはおいしいのに、やり方を変えたら味がずれた! なんてこともあるから『自分がおいしい』と思った感覚を大切にしてくださいね。

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Point 普段のコーヒーがおいしければ、いつも通りの淹れ方でOK!おいしくない時だけ下記のやり方を取り入れて、今までの手順を修正していく。Point 普段のコーヒーがおいしければ、いつも通りの淹れ方でOK!おいしくない時だけ下記のやり方を取り入れて、今までの手順を修正していく。

Lesson#0 コーヒー豆の選び方

今、コーヒーはバラエティーに富んだ味を楽しめる時代。味の好みはそれぞれだし、かつ淹れ方によっても味が変わるので「この豆だからおいしい!」と言えないのがコーヒーの面白いところ。「この味が好き!」を自分の中で見つけていくしかないのですが、初心者さん向けに焙煎した豆の選び方をあえて伝えるとしたら…。

Point 焙煎が浅い→酸味が強く、
  すっきりとした味わい。焙煎が深い→苦みが増し、コクや香り、甘みが出てくる。

Lesson#1 コーヒーを淹れてみよう 1.豆(粉)を用意するLesson#1 コーヒーを淹れてみよう 1.豆(粉)を用意する

1.豆(粉)を用意する

ミルを持っている人は、豆から挽いてみましょう!
焙煎具合によって豆の密度が異なるため「かさ」で測るよりも「重さ」を計った方が間違いはありません。最適なグラム数は使う器具でも変わっていきますが、「抽出量100ccに対して使う豆(粉)は6g」を目安に好みで調整してみてください。
今回は300t抽出したいので、18gの豆(粉)を使います。

スプーンではかる場合スプーンではかる場合

コーヒーを淹れる際、グラム数を計ってメモしておくと「この豆は、このグラム数だと酸っぱい(濃い)」という自分なりのデータができるのでオススメですよ!

2.お湯を沸かす間、豆を挽いてペーパーフィルターに粉を入れる2.お湯を沸かす間、豆を挽いてペーパーフィルターに粉を入れる

ペーパーフィルターに粉を入れたら、粉が平らになるように表面をならします。

これは、お湯を注いでいくと生まれるコーヒーの粉の層のために欠かせない作業なんです。

3.お湯の温度について3.お湯の温度について

今回は18gの豆(粉)を使っているので、注ぐお湯の量は300cc+α(粉に吸われる分)になります。

さて、ここで気になるのは、コーヒーの旨味を引き出すと言われているお湯の適温について。
諸説ありますが、後藤さんは92〜82℃の間のどこかにベストな温度があると考えているそうです。※お湯の温度は高いほど味がしっかり出ますが、新鮮な豆に対してお湯の温度が高すぎると粉の中から炭酸ガスがあふれ出すぎてお湯が浸透せず、逆に味が出にくくなる場合があるそうなので、注意してくださいね!

お湯の温度の目安お湯の温度の目安

4.抽出の前半は、ゆっくりと注ぐ4.抽出の前半は、ゆっくりと注ぐ

お湯300ccのうち、最初の100〜150ccくらいは2分近くかけてゆっくり注ぎ(前半)、残りを1分ほどの時間で手早く注いでいきます(後半)。

しっかり粉を蒸らすこととお湯をじっくり粉に浸透させることを意識すること。コレがおいしさの秘訣ですよ!しっかり粉を蒸らすこととお湯をじっくり粉に浸透させることを意識すること。コレがおいしさの秘訣ですよ!

まずは、1投目。粉の中央部分をめがけて、ゆっくりゆっくり注いでいくと…。コーヒーの泡ができ、モコモコに膨らんできます。

このモコモコこそ、コーヒー豆の鮮度の証!

Point コーヒーは最初に旨味成分、後半に雑味が抽出されることを踏まえ・お湯の半分(前半):粉に浸透させるようにゆっくりと注ぐ・お湯の半分(後半):雑味は早く出してしまいたいので、少しテンポを上げて注ぐ

さて、ハンバーグ状になったモコモコが平らになって表面にツヤがなくなってきたら、次のお湯の注ぎ時。
ここからはコーヒーの旨味をしっかりと絞り出すようにゆっくりゆっくり注いでいきます。残り半分は前半に出た濃い旨味成分をお湯でさらりと薄めていくような気持ちで少しテンポを上げて注ぎ、雑味ができるだけ出ないようにします。

Lesson#2お湯は、粉全体ではなくなぜ粉の中央に注ぐの?Lesson#2お湯は、粉全体ではなくなぜ粉の中央に注ぐの?

スプーンではかる場合スプーンではかる場合

粉の中央部分にお湯を注いでいくと、ペーパーフィルターの側面にコーヒーのフチ(層)が出てきます。

このフチを落としながらお湯を注ぐという方法もあるのですが、このフチを崩すと渋さや苦みなど雑味が出やすくなる場合もあります。

普段、ハンドドリップで淹れるコーヒーが雑味や渋みだらけであまりおいしくないなぁという時は、このフチに気をつけて淹れてみましょう!普段、ハンドドリップで淹れるコーヒーが雑味や渋みだらけであまりおいしくないなぁという時は、このフチに気をつけて淹れてみましょう!

Lesson#3最後は、撹拌(かくはん)をするLesson#3最後は、撹拌(かくはん)をする

後藤さんは、現在、ハンドドリップの日本一を決める大会「ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ(JHDC)」の審査員も務めていますが、「プロでも撹拌不足だなと思うことが意外と多いんです」とのこと。

撹拌とは、かき回すこと。Lesson#2で、コーヒーは最初に旨味成分、後半に雑味が抽出されると伝えましたが、この旨味と雑味の成分はサーバーの中で上下に分離しています。一杯立てなら問題ないのですが、そのまま2〜3杯に分けていくと「おいしいカップ」と「おいしくないカップ」が必ずできてしまいます。コーヒー全体が均一の味になるよう、しっかりと上下の対流が出来るように混ぜていくようにしましょう。
撹拌用のスプーンがない場合はカップを1つ用意して、コーヒーが入っているサーバーとカップを交互に移し替える形で混ぜてもOK。このカップ返しの撹拌は、1回するだけでも味のばらつきをグッと抑えることができます(2〜3回がオススメ)。

Pointしっかりとした撹拌がコーヒーの味を安定させ、よりおいしい味に仕上げる。Pointしっかりとした撹拌がコーヒーの味を安定させ、よりおいしい味に仕上げる。「本当!?」と思う人は、撹拌前と撹拌後のカップによる味のばらつき具合を飲み比べすると違いがわかりますよ

「本当!?」と思う人は、撹拌前と撹拌後のカップによる味のばらつき具合を飲み比べすると違いがわかりますよ!

Lesson#おまけ 道具についてLesson#おまけ 道具について

おうちで本格的にコーヒーを淹れようと考えた時、「高い道具=良い」と考えがちですが、「ドリッパーもサーバーも安いもので十分だけど、ミルだけは一生モノと考えて高いものを選ぶのがオススメ!」と後藤さん。
リーズナブルなものの中には味が変わりやすいもの、壊れやすいものも多く、耐久性の高い高価なミルの方が長く使えて結果的にオトクな場合が多いそうです。

今回、後藤さんが使ったミルはこちら今回、後藤さんが使ったミルはこちら

後藤さんが絶賛する「コマンダンテ コーヒーグラインダー」! このミルの詳細についてはネットで探してみてください
これからミルを買うという人は、参考にしてくださいね!

教えてくれた人
世界一の焙煎人・後藤 直紀さん
東京の「カフェ・バッハ」でコーヒーについて学び、数年後に福岡で「豆香洞コーヒー」を開店。生豆の選別や鑑定、コーヒーの味や香りなどの焙煎技術を競う世界大会「ワールド・コーヒー・ロースティング・チャンピオン2013」で頂点に輝く。後藤さんが焙煎した豆は、お取寄せも可。頃合いを見てコーヒー教室を開催したいとのことなので、興味のある人はブログを欠かさずチェック!
世界一の焙煎人・後藤 直紀さん世界一の焙煎人・後藤 直紀さん
Special thanks to
豆香洞コーヒー
https://www.tokado-coffee.com

福岡県大野城市白木原3-3-1(西鉄大牟田線「白木原駅」から徒歩約3分)
092-502-5033 11:00〜19:00 水曜休