一杯ずつ(自分なりに)丁寧に淹れたコーヒーなのに「今日はおいしくできた」「いつもより雑味が出てる」など、
が毎日一緒だったとしても「その日の室温や湿度によっても味は変化するんです」と教えてくれたのは、福岡県にある「豆香洞コーヒー」の店主で、焙煎の技術を競うコンテストで世界一に輝いた経歴を持つ後藤 直紀さん。
後藤さんからの一言
プロの作業をすべて取り入れるとコーヒーがおいしくなると誤解している人が多いけど、100人いたら“100通りのおいしい”があるほど、味の好みは人それぞれ。
自分で淹れるコーヒーはおいしいのに、やり方を変えたら味がずれた! なんてこともあるから『自分がおいしい』と思った感覚を大切にしてくださいね。
今、コーヒーはバラエティーに富んだ味を楽しめる時代。味の好みはそれぞれだし、かつ淹れ方によっても味が変わるので「この豆だからおいしい!」と言えないのがコーヒーの面白いところ。「この味が好き!」を自分の中で見つけていくしかないのですが、初心者さん向けに焙煎した豆の選び方をあえて伝えるとしたら…。
ミルを持っている人は、豆から挽いてみましょう!
焙煎具合によって豆の密度が異なるため「かさ」で測るよりも「重さ」を計った方が間違いはありません。最適なグラム数は使う器具でも変わっていきますが、「抽出量100ccに対して使う豆(粉)は6g」を目安に好みで調整してみてください。
今回は300t抽出したいので、18gの豆(粉)を使います。
コーヒーを淹れる際、グラム数を計ってメモしておくと「この豆は、このグラム数だと酸っぱい(濃い)」という自分なりのデータができるのでオススメですよ!
ペーパーフィルターに粉を入れたら、粉が平らになるように表面をならします。
今回は18gの豆(粉)を使っているので、注ぐお湯の量は300cc+α(粉に吸われる分)になります。
さて、ここで気になるのは、コーヒーの旨味を引き出すと言われているお湯の適温について。
諸説ありますが、後藤さんは92〜82℃の間のどこかにベストな温度があると考えているそうです。※お湯の温度は高いほど味がしっかり出ますが、新鮮な豆に対してお湯の温度が高すぎると粉の中から炭酸ガスがあふれ出すぎてお湯が浸透せず、逆に味が出にくくなる場合があるそうなので、注意してくださいね!
お湯300ccのうち、最初の100〜150ccくらいは2分近くかけてゆっくり注ぎ(前半)、残りを1分ほどの時間で手早く注いでいきます(後半)。
まずは、1投目。粉の中央部分をめがけて、ゆっくりゆっくり注いでいくと…。コーヒーの泡ができ、モコモコに膨らんできます。
さて、ハンバーグ状になったモコモコが平らになって表面にツヤがなくなってきたら、次のお湯の注ぎ時。
ここからはコーヒーの旨味をしっかりと絞り出すようにゆっくりゆっくり注いでいきます。残り半分は前半に出た濃い旨味成分をお湯でさらりと薄めていくような気持ちで少しテンポを上げて注ぎ、雑味ができるだけ出ないようにします。
粉の中央部分にお湯を注いでいくと、ペーパーフィルターの側面にコーヒーのフチ(層)が出てきます。
このフチを落としながらお湯を注ぐという方法もあるのですが、このフチを崩すと渋さや苦みなど雑味が出やすくなる場合もあります。
後藤さんは、現在、ハンドドリップの日本一を決める大会「ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ(JHDC)」の審査員も務めていますが、「プロでも撹拌不足だなと思うことが意外と多いんです」とのこと。
撹拌とは、かき回すこと。Lesson#2で、コーヒーは最初に旨味成分、後半に雑味が抽出されると伝えましたが、この旨味と雑味の成分はサーバーの中で上下に分離しています。一杯立てなら問題ないのですが、そのまま2〜3杯に分けていくと「おいしいカップ」と「おいしくないカップ」が必ずできてしまいます。コーヒー全体が均一の味になるよう、しっかりと上下の対流が出来るように混ぜていくようにしましょう。
撹拌用のスプーンがない場合はカップを1つ用意して、コーヒーが入っているサーバーとカップを交互に移し替える形で混ぜてもOK。このカップ返しの撹拌は、1回するだけでも味のばらつきをグッと抑えることができます(2〜3回がオススメ)。
おうちで本格的にコーヒーを淹れようと考えた時、「高い道具=良い」と考えがちですが、「ドリッパーもサーバーも安いもので十分だけど、ミルだけは一生モノと考えて高いものを選ぶのがオススメ!」と後藤さん。
リーズナブルなものの中には味が変わりやすいもの、壊れやすいものも多く、耐久性の高い高価なミルの方が長く使えて結果的にオトクな場合が多いそうです。
後藤さんが絶賛する「コマンダンテ コーヒーグラインダー」! このミルの詳細についてはネットで探してみてください
これからミルを買うという人は、参考にしてくださいね!
福岡県大野城市白木原3-3-1(西鉄大牟田線「白木原駅」から徒歩約3分)
092-502-5033 11:00〜19:00 水曜休