Vol.26 佐賀のちゃんぽん

弾力があって、きめ細やかな肉質とほのかな甘み。いつ食べてもおいしい鹿児島の黒豚。黒豚のブランドは他県にも存在しますが、全国の中でもトップランクの評価を受けている鹿児島の黒豚は、やはり別格です! 今月は、数あるお店から編集部が今オススメしたい3店舗をご紹介します。お腹をペコペコにしてお出かけくださいね!

※記事は2022年9月9日時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります。
表記の金額はすべて税込価格となります。

グルメin 高見馬場 とんかつ「丸一」

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グルメin 高見馬場 とんかつ「丸一」


とんかつの本場・東京での修業を経てお店を開いた店主の武さん。厨房で作業する武さんの目線の先を追っていると、1つひとつの動きから、職人としての想いがにじみ出ているのを感じる

外でとんかつを食べるのはどんな時? と振り返ると、「今日は食べるぞー!」と心がポジティブになっている時だ。「とりあえず、とんかつ」という人は、ほぼいない(はず)。その意気込みを象徴するかのように、「丸一」では並んででも食べたいという人が多い。軽〜い気持ちで『上ロースかつ定食』を頼めば、下ロース350gのとんかつが運ばれてきて、そのボリュームに一瞬ひるむ(こんなにビッグサイズなのに2400円という、原価率50%超えの心意気もスゴイ!)。


『盛合せ定食〈竹〉』(2800円)。お皿の上のボリュームから、3〜4人前かな?と思い「シェアして食べるんですか?」と聞いたらなんと一人前だった…! ロース約280g、ヒレ120g、大海老2本と大満足のひと皿

量もさりながら、厚みもかなりある。この存在感あるルックスに対して、肉質は驚くほどしっとりとして柔らかく、衣が軽くて甘い。何もつけなくても、肉とパン粉がフィットしていて喉越しが良く、肉本来の自然な甘さを堪能できる。しかし、今回ご紹介したいのはその定食ではない。この下ロースも入っている『盛合せ定食〈竹〉』だ。メニュー表には「ロース、海老二本」と記載されているのに、運ばれてきたお皿を見ると下ロースの横に盛られているのは、なんとヒレ…!


レモン、辛子、ソースをたっぷりかけて食べるのが、武さんのオススメの食べ方。トリプルでかけるのは初めてだったが、とてもおいしかった! ソースはフルーツが主成分なので、たっぷりかけても濃すぎることはない

「えっ、あの、メニューにヒレは載ってないですけど…?」と聞いたら、「ロースだけだとヒレが食べたくなって、ヒレばかり食べているとロースがよりおいしく感じるから、いつも2種類盛っているの」と武さんはうれしそうに言った。口を大きく開けて、ガブッと食べる。肉の甘み、旨味に、脂身の甘みが加わって口の中が喜びに溢れる。五感をフルに使って“食べてる〜”と得られる幸せがある。お腹がいっぱい、心もいっぱい。豊かな気持ちになれる。それが「丸一」だ。

味のとんかつ 丸一

099-226-3351

鹿児島市山之口町1-10 鹿児島中央ビルB1F
11:30〜O.S.14:00、17:30〜O.S.20:00
土曜の夜と日曜休
https://tabelog.com/kagoshima/A4601/A460101/46000091/
アクセス_鹿児島市電「高見馬場」電停から徒歩約2分

グルメin 中央通り「和季」

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グルメin 中央通り「和季」


六白黒豚とは、鹿児島産黒豚のこと。江戸時代に中国から琉球、薩摩へ入って来たのが起源と言われ、西郷隆盛も黒豚が大好きだったとか。六白の「六」とは、手足と鼻先、シッポが白いことに由来している

創業49年の精肉店「肉のマルシン」が営むお食事処。名物は六白黒豚を使った『ミルフィーユカツ』で、肉屋一筋のお父さんが目利きした絶品肉を使って、お母さんが腕を振るう。しゃぶしゃぶ用にスライスした12枚の下ロースとスパイスを重ね合わせたカツは、口の中でほろりと崩れる柔らかさで、塩をパラパラとかけたら肉の甘みとピリッとしたスパイスがほど良く、さっぱりとしていた。塩もおいしかったけど、より印象的だったのはお母さん特製のとんかつソース。


調理時間よりも下ごしらえに時間がかかっているという『黒豚ミルフィーユかつ定食(1650円)』は、ランチメニューではないが終日注文できる。量が多くて食べきれないという人は、ハーフサイズをどうぞ!

赤ワインの酸味が効いたデミグラスソースのような芳醇さで、口の中が一瞬パッと華やぎ、肉の味がスーッと顔を出してくる。カツを一切れ食べる度に、食べ始めから終わりまで味の変化が楽しめる組み合わせだ。また、イリコ出汁のお味噌汁と、出汁を取った後のイリコでつくった佃煮もメインに負けないほど味わい深かった。佃煮は甘くはなくあっさりとしていて、食感は釜揚げしらすに近い。「佃煮を持ち帰りたいという相談をよく受けるんだけど、そこまでの量はなくて」


定食に付いているバニラアイスは、ごはんの〆に。「愛ちゃん」は、鹿児島県飲食店第三者認証店に登録されている

とお父さんが話してくれた時、心の中で「実はわたしも…」とつぶやいたほど。お腹に余裕があるなら、佃煮だけでごはんを一杯平らげることができそうだ。そんな『黒豚ミルフィーユかつ定食』は、日替わりの小鉢が2品付く。この日の小鉢の1つはお母さんが「田舎煮」と呼んでいる煮物で、小さな器の中に人参、筍、大根、ちくわ、鹿児島地鶏、こんにゃくなど具の種類も量もたっぷり入っている。“しっかり食べてね”と願うお父さんとお母さんの愛情が伝わってきた。

お食事処 愛ちゃん

099-250-4333

鹿児島市紫原4-2-18
11:30〜O.S.14:00、17:30〜O.S.21:00
木曜休(祝日も営業)
https://tabelog.com/kagoshima/A4601/A460101/46009585/
アクセス_鹿児島交通バス「紫原中央」下車、目の前

グルメin 中央通り「南風茶屋」

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グルメin 中央通り「南風茶屋」


市電の通り沿いにあり、「天文館」交差点のすぐ近く。個室を希望する人は、掘りごたつタイプの完全個室もある。

木の格子の扉を開くと、和モダンでスタイリッシュな空間が広がる。手前には囲炉裏と、それを囲むようにカウンター席があり、清々しく、凛とした雰囲気だ。赤い色を放つ炭火を見ていると心まで温まりそうで、夜の店内はどんな表情なのだろうと期待が高まる。しっとりとした佇まいから割烹と間違えそうだが、意外にもとんかつとしゃぶしゃぶの専門店! 東京の「旬香亭」と「ポンチ軒」のシェフである斎藤元志カ氏が監修し、コロナ禍だった昨年初めにオープンした。


とんかつは低温でじっくり時間をかけて揚げることで、きめ細やかな肉質を楽しむことができる。『黒豚ロースかつ(上)定食(2200円)』

「なんて繊細で品の良い味だろう」。これは、とんかつを食べたひと口目の感想だ。噛む度にザクッ、ザクッと音を立てる衣の心地いい食感。肉の繊維が柔らかくて、ジューシーな旨味。レモンを絞ってかけたけど、ソースはいらないと思うほど肉の味わいが良く、“和食”という言葉がぴったりな上品さだった(後から知ったけど、塩にレモンをかけて食べるのがオススメだとか!)。うれしいのは、どのとんかつ定食を頼んでも「おろしポン酢」と「なめこ汁」が付くこと!


しゃぶしゃぶ用の鍋は風情ある南部鉄器を使用。鍋の中のダシは炭火で沸かすことで、肉の繊維が硬くなり過ぎず、やわらかな食感を楽しむことができるのだそう!『茶美豚・黒豚食べ比べしゃぶしゃぶセット(2750円)』

おろしポン酢は橙が入って風味が良く、なめこ汁は大きな器にたっぷりと入っているので、満足度がかなり高い。そして、もう一つの押しであるしゃぶしゃぶでは、共に鹿児島の特産品である茶美豚と黒豚の食べ比べができる。しゃぶしゃぶ用の肩ロースは、あえて手切りで厚めにカットすることで、肉の断面にダシが絡み、旨みを引き出すことができるそうだ。ありがたいことに、しゃぶしゃぶは一人前から注文できるので、一人で出かけても気兼ねなく堪能することができる。

とんかつと、しゃぶしゃぶ。黒豚ふくや

099-295-0676

鹿児島市千日町15-4
11:30〜O.S.14:00、17:00〜O.S.22:00(ドリンクはO.S.22:30)
無休
https://tabelog.com/kagoshima/A4601/A460101/46014561/
アクセス_鹿児島市電「天文館通」電停から徒歩約1分