ちゃんぽんの代名詞である長崎と、今回取材した佐賀。隣同士の県ですが、ちゃんぽんの味はかなり違います。スープにも違いはありますが、佐賀のちゃんぽんの多くは海鮮が入っていないのも特徴なんです! 今月はちゃんぽんを佐賀の名物に定着させた「井手ちゃんぽん 本店」を含め、今押さえておきたい名店へ出かけてきました。
※記事は2022年7月8日時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります。
表記の金額はすべて税込価格となります。
3軒隣には「井手製麺」があり、麺とスープのそれぞれのスペシャリストたちと厨房スタッフによって一杯が完成する。『ちゃんぽん(820円)』
聖地巡礼。――初めて本店へ出かけた今回の取材は、この想いに尽きる。今や福岡、熊本、大分にも展開しているが、この店が原点であり、ちゃんぽんを佐賀の名物に押し上げた文化の発祥地ともいうべき存在だ。「今日のスープは良い状態に仕上がっていると思います」と運ばれてきたちゃんぽんを上からのぞき、ひと口すくって飲む。とてもクリーミー! 意識して食べないとわかりづらいかもだけど、2/3ほど食べ進めると器の中でスープの味が変化しているとわかった。
このメニュー看板を見ると「本店だ!」と心躍る人もいるはず! ちゃんぽんに使用している器は有田焼で、完食すれば現れる唐子柄もかわいい
時間とともに麺がスープに馴染み、とろみとなって、味が複雑に重なり合っていく。器の中で味が変化していくこのベストな状態になるように毎回つくるのが難しく「感覚を研ぎ澄ませ、脂の抜く量を加減しながら調整しています」と代表。半分ほど食べたらホワイトペッパーをかけて軽くなじませる。鼻に抜ける胡椒の香りとスープが少し大人な味がしておいしかった。次に本店専用の赤い柚子胡椒を入れたら、唐辛子のフレッシュさと旨み、辛みがダイレクトに伝わり、
福岡空港内にある「井手かつ丼」は、本店の直営店! 専門店を出店するほどファンが多い本家本元のカツ丼を食べてみよう
ピリッとした味わいがたまらなくて何度もいただいた。このちゃんぽんと人気を二分するのが、トロットロの卵がそそる『カツ丼(900円)』! 噛むとだしがジュワ〜ッと広がるカツ。その下には米の弾力を残しつつも、たっぷりとかかっただしとのバランスがいい塩梅のごはんがおいしくて、スルスルと入っていく。2人で出かけるなら、ちゃんぽんとカツ丼をシェアして2つとも食べちゃおう。席数が多く、回転が比較的早いので、そこまで待たずに入店ができるはず!
訪れたのは、
0954-36-2047
武雄市北方町大字志久高野1928
10:30〜O.S.20:30(第1・3火曜は〜O.S.14:30)
水曜休(祝日の場合は営業、翌日休)
https://tabelog.com/saga/A4103/A410301/41000004/
アクセス_祐徳バス「ホームセンターユートク」下車、徒歩約3分
かつては長崎街道沿いに店を構えていたことが屋号の由来だそう。牛津は長崎街道の宿場町として賑わいを見せたエリアで、現在は佐賀と佐世保にあり、かつては福岡・中洲にあった百貨店「玉屋」の発祥の地でもある
飲んだ瞬間「んーー!!!」と声にならないおいしさ。スッキリとしているのに旨みと甘みがあってゴクゴクと、本当にゴクゴクと飲める! 聞けば、佐賀では珍しい魚介だしで、イワシとアジ、昆布の一番だしを使用。「このスープでラーメンをつくってよ」というリクエストもあるほど絶品だ。女将の大坪さんは「ラーメンづくりにチャレンジしたいけど出前もしているし、もう手一杯で」と話していたけど、この透き通った色からもおいしさが伝わってくるでしょ?
昭和13年創業当時からのレシピを忠実に守り続けている『チャンポン(750円)』
シャキシャキした野菜は、器が空っぽになる最後の最後まで食感が変わらなかった。野菜がおいしく、麺がスープと絡まるというより、お互いの良さを引き出した一体感ある味わいで麺をすすりながら喜びを感じた。野菜を炒めている同じフライパンの中で、野菜とスープから出た旨みをあえて麺に吸収させる。このひと手間を加えることで、麺とスープを器の中で合わせた時に立体感のある味に仕上がるという。野菜に関しては、甘みの強い佐賀産の玉ねぎが良い仕事をしていて、
女将の大坪 利子さん。後継者問題を抱えつつも昭和初期から続くこの店の味を残したいと、毎日厨房に立って店を切り盛りしている
産地によっては甘みの少ないマリネやフレンチ向きの玉ねぎもあるのだと教えてもらった。キャベツは食べやすいよう、毎回芯を外すという細かな気配りもおいしさにつながっている。「外した芯はすべてニワトリのごはんになるから、フードロスの削減にもなるんです」と大坪さん。ユーモアを交えながら話してくれる、人懐っこくてチャーミングな人柄も印象的だ。現在、営業時間はお昼のみ。15時近くの来店になりそうな時は、事前に電話で確認するのがオススメ。
訪れたのは、
0952-66-0412
小城市牛津町牛津66-30
11:00〜15:00
月曜と8/15(月)〜8/17(水)は休み
https://tabelog.com/saga/A4103/A410303/41002255/
アクセス_「JR牛津駅」から徒歩約15分、JR牛津駅前から出ている
「あいのりタクシー」で「天満町住宅前」下車、目の前
海苔とちゃんぽんの組み合わせは初めてだったけど絶品! 佐賀のおいしいものをまた1つ見つけた取材となった。『特製ちゃんぽん(1000円)』
ちゃんぽんの上にたっぷり載っている黒いもの。一見ワカメっぽいけど、実は「香味干し」という海苔なんです。う〜ん、良い香り!「丸徳」がある佐賀市川副町は、全国で一番海苔が獲れる地域で、同じ町内にあり、東京の高級和食店にも卸している「三福海苔」の香味干しを使った『特製ちゃんぽん』はこの店ならではのメニュー! 香味干しは、収穫した海苔をそのままの状態で乾燥・焙煎しているため、従来の板海苔よりも、海苔本来の香りと味を楽しむことができる。
上写真が「香味干し」で、『特製ちゃんぽん』や『香味干しちゃんぽん』には毎回これぐらいの太っ腹な量をトッピングしている。さすが、海苔の生産量・品質ともに日本一を誇る川副町ならではの地元グルメ!
まずは海苔を入れずにスープをいただいて…。見た目は豚骨、なのに和風だしの豊かな滋味が身体に染みわたり、肩の力がふぅ〜っと抜ける。深みのあるこの味わいは、天然羅臼昆布や極上花カツオなどで毎朝2時間かけてとっただしで、豚骨スープを合わせることで完成するそうだ。次に海苔を浸したスープをいただくと、口の中が一気に華やいだ。とろけるような甘みが加わり、味にふくよかさが増したよう。キクラゲと野菜の食感が良く、小刻みな咀嚼音が気持ちいい。
5歳以下のキッズには『ミニうどん』のサービスも! 小さな子ども連れのパパとママはゆったりとした広さのお座敷席がオススメ
食べ進めるうちに、野菜と麺の間に隠れている半熟卵のサプライズを発見! この玉子は同じ町内に住む高祖さんが育てた、知る人ぞ知る「コゥコ・エッグ」。有明海の海苔を餌にして育てた貴重な鶏の卵で、ビタミンやミネラルが豊富なのだとか。これらの栄養素に加え、『特製ちゃんぽん』も含めた「丸徳」の4種類あるちゃんぽんは、すべて化学調味料を使用していないから身体にもやさしい。川副町の恵みがたっぷりと入った極上の一杯。みんなも食べてみて。
訪れたのは、
0952-45-6860
佐賀市川副町大字小々森124-5
月〜水曜と土日11:00〜15:00、17:00〜20:30、木・金曜〜17:30
無休
https://tabelog.com/saga/A4101/A410101/41002758/
アクセス_佐賀市営バス「鋤崎」から徒歩約10秒