Vol.21 日田の焼きそば

今月の3店舗は、そのままお店へ出かけるも良し、「日田やきそば 食べ比べプラン」というクーポンを使って、味やこだわりを比べてみても面白そうです(日田市観光案内所、天領日田資料館にて1000円で販売)。このクーポンを使えば、各お店のハーフサイズ(単品のプレーンタイプの焼きそば)を2杯食べることができますよ!

※記事は2022年2月10日時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります。
表記の金額はすべて税込価格となります。

グルメin日田 二軒目♪ 「天龍」

矢印

グルメin日田 二軒目♪ 「天龍」


軽く湯通しした麺をカリカリになるまでラードでじっくり丁寧に揚げていく

日田の焼きそばの取材、1軒目は「天龍」からスタート。一般的な焼きそばとなにが違うのだろう? 専門店があることは知っているけど、まだ食べたことはない。そんなことを考えながらでき上がりを待つ間、カウンター越しに調理の様子を眺めていたら、さっと湯通しした麺を鉄板の上で…。あ、あれ? 焼くではなく、揚げている!? ヘラで捌きながら手際よく野菜やソースを投入し、「はい、お待ちどおさま!」とお皿を受け取ったここまでの所要時間はおよそ10分。


『焼きそば(750円)』を注文すると、とんこつラーメンのスープが付いてくる。このスープのおもてなしも、日田の焼きそばならではの特徴だ

ソースの香ばしい匂いで空腹に拍車がかかる。しっとり系のソース焼きそばと違い、表面がパリッとしているのが日田の焼きそばの特徴だ。この焼き具合は各店の味を左右する重要なポイントで、鉄板の上で“焼き”に挟まれた麺は蒸し状態になることで2つの食感を同時に楽しめる。「天龍」の“焼き”は、ベビースターのような味と硬さがおいしい。ポリポリ感がクセになり「手が止まらないです(笑)」と店主に話かけながら、ついその部分だけを先に食べてしまった。


『椎茸焼きそば(1000円)』は店内で食事をする人のみ注文可。焼きそばに入っている豚肉は厚くて食べ応えがあり、肉汁の旨みもたっぷり!

その様子を見た店主が「これも食べて行って!」と薦めてくれたのが限定20食の『椎茸焼きそば』だ。店主の父が試行錯誤して生み出した一品で、昔は常連のみぞ知る裏メニューだったが、今では『焼きそば』と人気を二分する存在に。甘く煮た椎茸の旨味が口いっぱいにジュワ〜ッと広がって、卵を崩して麺に絡めると口福度はさらに倍増! 「これに白ごはんがあったら最高ですね!」と伝えると、実際にごはんを追加注文する人も多いという。まさに納得のおいしさだ。

「天龍」

0973-22-7473

日田市田島2-7-6
11:30〜O.S.14:00
不定休
https://tabelog.com/oita/A4404/A440403/44003135/
アクセス_日田バスターミナル発の高速バスで「市役所前」下車・目の前、JR「日田駅」から徒歩約15分

グルメin日田 二軒目♪ 「みくま飯店」

矢印

グルメin日田 二軒目♪ 「みくま飯店」


「日田やきそば研究会」の代表も務める吉田さん。日田の焼きそばについて知りたいことがあれば、お店で吉田さんに質問してみて!

続いて向かったのが、マンガ「クッキングパパ」の127巻にも登場する「みくま飯店」だ。店内で読ませてもらったが、本に出てくる店主・吉田さんとご本人があまりにもそっくりなので「似てる…!」と驚いていたら、吉田さんご夫妻はニコニコ顔で「似ているよねー!」とうれしそうに笑い合っていた。厨房に立ち続けて50年。湯がいた麺を鉄板の上に置いたら、しばらく触らないのが吉田さんの流儀だ。高温の鉄板とラードが奏でるジュワジュワ―ッと激しい音がしばらくすると微妙に変わる。


昭和45年の創業以来、昔ながらの味を守り継いでいる『やきそば(750円)』。15時までは『やきそば』を注文すると豚骨スープが付いてくる

麺がほんの少し反っていく。麺の隙間から見えるちょっとした色の変化を見逃さず「今だ!」というタイミングを見極めること。これが重要だ。「みくま飯店」の“焼き”は、パリパリとした硬さとしっとりとした柔らかさの加減、その配分が絶妙で、頬張ると軽やかな味がする。ソースの旨味、もやしのシャキシャキ感、お肉のジューシーさなど、まるで1つの円を描くように品よくまとまっているのだ。今回特集している3店舗は、ソースこそ各自オリジナルだが、


お座敷タイプのテーブルもあるので、小さな子ども連れのファミリーも靴を脱いでのんびりと寛ぐことができる

麺は共通してすべて同じ製麺所の同じ種類の麺を使用している。この後『らく亭』の焼きそばをいただいたが、“焼き”の違いでこんなにも店によって味に違いが出るのだと実感した。日田の焼きそばは、食べれば食べるほど奥深い。一見、脇役のように見えるもやしも実は味の要を担っていて、細いもやしを使うと焼きそば全体の味が変わるので気を付けているそうだ。「みくま飯店」は特に週末になると行列ができる人気店なので、早めに出かけよう。

「みくま飯店」

0973-22-7261

日田市隈1-5-21
11:30〜O.S.18:30、月曜は〜14:00まで(材料がなくなり次第終了)
月曜の14時以降は休み&水曜休(祝日の場合は翌日休)
https://tabelog.com/oita/A4404/A440403/44000522/
アクセス_JR「日田駅」から徒歩約12分、日田バス「ひたはしりCコース【一ノ宮病院行】」で「隈温泉旅館街」下車、徒歩2分

グルメin日田 三軒目♪「さつま馳走 舞田」

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グルメin日田 三軒目♪「さつま馳走 舞田」


青ネギとソースの色の対比が美しい「らく亭」の焼きそば。お店は住宅街にあり「うちは観光客より地元に住む高齢のお客さまが多いんですよ」と店主

焼きそばのお店で、ラーメンも注文できる。県外の人にとってはちょっと不思議な日田の焼きそばの“あるある”だが、事実「らく亭」も「みくま飯店」もオープン初日からこの2つをメニューに掲げているそうだ(お好み焼き店に焼きそばがあるのと同じ感覚なのだそう!)。焼きそばの具はいたってシンプルで、もやし、ネギ、豚肉のみ。福岡で生まれ育った「らく亭」の女将さんは、キャベツや玉ねぎが入っていないもやしたっぷりの焼きそばを初めて見た時の印象を


「父の味を完コピして受け継いでいきたいんです」と話す2代目がつくった焼きそばは、少し甘めのソースが後を引くマイルドな味わいだ

「福岡と日田の食文化の違いに、心底驚きました」と懐かしそうに振り返る。厨房では、店主と2代目が父子で切り盛りしている。取材当日は、2代目が焼きそばをつくってくれた。コテを持つ手首のスナップを利かせ、鉄板の上を野菜が優雅に舞う。「鉄板の温度は季節で変化をしたり、つくる分量や、もやしの水分量・太さなどで、できあがりに微妙な差が生まれるんです。味がブレないように考えながらつくる工程が焼きそばづくりの魅力であり、面白さです」と話す。


『Bランチ(850円)』。ハーフの焼きそばとハーフのラーメン&おにぎりが1つ付いた『Aランチ(600円)』もある(平日のみ提供)

平日限定だが、「らく亭」には麺好きな人なら押さえておきたいメニューがある。焼きそばとハーフサイズのラーメンがセットになった『Bランチ』だ。焼きそばの“焼き”はというと、やや柔らかさもあるパリパリ具合で、ソースは福岡の人にとっては馴染みのある味に近い気がした。ラーメンはあっさりとした豚骨スープで、麺はのど越しが良く、盛り付けた海苔がスープに染み渡り食欲をそそる。焼きそばもラーメンも食べたい! そんな欲望を満足させるうれしい一品だ。

「らく亭」

0973-24-1428

日田市北友田1-1348-2
11:30〜O.S.19:30(ランチメニューはO.S.14:00)
水曜休&不定休
https://tabelog.com/oita/A4404/A440403/44004127/
アクセス_JR「光岡駅」から徒歩約2分