派手ではないけど、地元の人たちから愛されているお店があります。そんな“愛され店”を深堀りしている「九州グルメ」ですが、今月ご紹介するのはおいしさはもちろん、こだわりやストーリーを持ったお店たち。あぁ、写真を見ているだけでまたお腹がすいてきました。
※記事は2021年9月10日時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります。
表記の金額はすべて税込価格となります。
ランチ時は希望者のみ薬味を提供しているが、その薬味の中にはなんと“キーマカレー”もある。「ちょっとだけカツカレーも食べたい時があるでしょ?」と店主。自身がとんかつ好きだからこそ、ニーズをとらえた太っ腹なサービスだ!
昨年4月、小倉に「とんかつ 藍」というこだわりの専門店がオープンした。居酒屋「やきもんや菜’s」が昼のみ屋号を変えて始めた店で、5年間とんかつの研究をし続けてきた店主が満を持して開いた店だ。特上ロースかつを頬張ると、サクッと心地良い音を立てて、ジュワ〜ッと肉の旨味が口いっぱいに広がる。思わず「甘い!」と心の声がこぼれてしまった。「肉はピンクでないけど揚げ過ぎない、ミディアムレアの30秒先を目指しています」と店主は話してくれた。
今回ご紹介したのは『特上ロースかつ定食(200g)』1480円。他に、ひれかつを使った定食や丼、豚ロースステーキの定食もある
「この道40年ですが、1品の開発にこんなに時間をかけたのは初めてなんです」と店主は笑う。とんかつに使用する豚を全国から取り寄せて試作を繰り返したが、コレだ!という肉が見つからず、まさかの灯台下暗しで福岡県産のハイポー豚という理想の味に出逢った。パン粉は10社の品を試作するなど、味を徹底追及。東京のとんかつ屋を何十軒もハシゴし、頭の中で味をデザインしていった。「そんなに好きなのに、なぜ今まで店にとんかつがなかったんですか?」。
若松にあった「とんかつ 藍」は、残念なことに9年ほど前に閉店。「リスペクトの意味を込めて屋号のみ許可を得て引き継ぎました」と店主。写真は「やきもんや菜’s」のメニューの一例
そう質問をすると「昔、若松にあって大好きだった『とんかつ 藍』の味を超える店になかなか出逢えなくてとんかつ屋を始めたんです。ただ、とんかつに関してはお客側でいたかったのが本音。自分がお客として店に通う楽しみも残しておきたくて」。そんなこだわりのとんかつは、単品にはなるが17時から営業する「やきもんや菜’s」でも注文できる。オプションで『ごはんセット』を追加したら定食スタイルで食事ができ、仕事帰りの腹ペコ男性を中心に好評だ!
訪れたのは、
093-522-8313
福岡県北九州市小倉北区船場町7-11
11:30〜O.S.14:30(「やきもんや菜's」は17:00〜O.S.22:00)
※9/30までの緊急事態宣言中は「やきもんや菜's」は休み
月曜休
https://www.sais.co.jp/
アクセス_JR「小倉駅」から徒歩約9分、北九州モノレール「平和通駅」から徒歩約6分
店内にはジャズが流れ、テーブル席からは風にそよぐ緑が見える。九州国立博物館から車で15分ほどの立地なので博物館への道中に寄ることもできる
久留米でとんかつと言えば、今もなお「つきじ大鳳」の名を挙げる人が多い。メニューは『トンカツ定食』『えびフライ定食』『ステエキ定食』のみ。職人肌の店主が一人で黙々と20年ほど営んでいたが、息子が跡を継ぐことになり、2010年に大野城市へ移転。店内を見渡すと、天井の色、鏡張りの壁、カウンターやテーブルの配置など久留米時代の要素が所々に詰まっている。現在の店舗のレイアウトを考えたのは先代だそうで、メニューも懐かしいあの3品だ。
「僕が小学生の時に店にいらしていた常連さんが、今では家族を連れて店に来てくださるんです。ご縁も父から受け継いだ大切な財産です」と店主
「父から受け継いだことをアレンジせずに、ただひたすら愚直にしているだけなんです」と2代目が揚げたてを運んできた。2〜3cmほどの厚さがあるとんかつは、箸を持つ手からも重量感が伝わってくる。咀嚼音がギュッ、ギュッと小さくするのも、肉の身と繊維がしっかりと詰まっているからこそ。肉を邪魔しない軽やかなソース、赤身肉のような食感と脂の程良い甘み。ボリュームがあるのに後口がサラッとしているので、すぐに隣のとんかつに箸が伸びてしまう。
トンカツ定食『標準(200g)』は1900円、『大(300g)』は2400円。野菜もソースをつけていただこう!
トンカツ定食は『標準(200g)』と『大(300g)』から選べるが、“大”を平らげる女性も多いそうだ。ウスター系ではなくデミグラスソースがサクサクとした薄めの衣と調和し、付け合わせの野菜と1プレートとなって、とんかつ定食なのに洋食のような趣もある。未だに来店者の半数は久留米時代からの常連客という。この話から、先代の店と味がいかに愛されていたか、2代目がこの味を守っていることを喜んでいる人がどんなに多いかを窺い知ることができる。
訪れたのは、
092-595-4129
福岡県大野城市横峰1-2-7
11:00〜O.S.14時頃、17:00〜O.S.20:00頃
※緊急事態宣言&まん延防止等重点措置下において、
夜の営業時間は17:00〜O.S.19:30頃
水曜休
https://tabelog.com/fukuoka/A4003/A400301/40026112/
アクセス_JR「水城駅」、西鉄電車「春日駅」から車で約10分
大海老フライ定食は『並(3尾)』は1050円、『大(5尾)』は1550円、『メガ(10尾)』は2000円。10尾はトータル700〜800gはあり、そのボリューム感たるやスゴイ…!
海老フライと聞くだけでテンションが上がるのに、ビッグサイズなビジュアルに目が釘付け! 「お腹がすいたらココ。」がコンセプトのごはん屋「今泉キッチン」の『大海老フライ定食』は、3尾、5尾、10尾から選ぶことができる。中洲にあるサバの専門店『博多鯖郎』が始めた店だから、魚介類はお手の物! 長浜市場から仕入れた大きな海老は、噛んだ時に身がほつれて甘くなるよう工夫を施している。ソフトシェルのように頭からパリパリ食せる、この食感がイイ!
ごはんとお味噌汁は食べ放題なので、お腹に自信がある人はメイン料理でごはん一杯、お漬物でごはん一杯といううれしい食べ方もできる
注文の多くは3尾か5尾だが「シャレでつくった10尾が意外と出るんです」と笑う店長。別添えでタルタルソースが付くが、海老フライ自体に味が十分付いているので、タルタルは少し付けるぐらいが海老の旨味を壊さずにいただける。サクサクとした歯ごたえと海老の甘味がごはんとの相性が良く、食べ過ぎてしまいそう。しかしこの店は『キムチ』『昆布漬け』『辛子高菜』『ふりかけ』が食べ放題。カツオの風味が口の中でふわぁ〜っと広がる梅ふりかけは、特に必食だ!
ランチタイムを微妙に過ぎた14〜17時であっても、しっかりと食事ができる店が天神のすぐそばである今泉にあるのがうれしい
定食メニューは他に、ステーキ重やピリ辛チキン、チキン南蛮、アジフライなどオールスターが勢揃いしている。主役級のメインばかりゆえ、何を選ぼうか迷ってしまうが、会社員が多い土地柄を踏まえ、日々飽きないお手軽なラインナップを意識しているという。昼時は行列ができる店で、この日は取材が始まった15時以降もお客が次々と入店。定食は一日を通していただくことができ、17時以降は単品メニューの注文ができるので、チョイ飲みのおつまみにも最高!
訪れたのは、
092-739-9022
福岡県福岡市中央区今泉1-14-20 イーグル7ビル2F
11:30〜O.S.22:00
※緊急事態宣言&まん延防止等重点措置下はO.S.19:30
不定休
https://saba.blue/imaizumi
アクセス_福岡市営地下鉄「天神駅」、西鉄電車「福岡(天神)駅」から徒歩3分