店ごとにスター(逸品)と呼びたいひと皿があります。今月はおいしい中華を求めて南は久留米、北は黒崎、そして天神と福岡県を横断してきました。実は以前から思っていたのですが、福岡の中華ってこの10年でずいぶん進化をしていると思いませんか? 外さない店、教えます。街の中華料理屋さんへ出かけよう!
※記事は2021年7月9日時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります。
表記の金額はすべて税込価格となります。
今回ご紹介したのは『麻婆豆腐(昼はごはんとセットで1000円)』だが、7月からは四川料理を追求した料理長による『嶋田の麻婆豆腐』も登場!
田中華と書いて「たなか」と呼ぶ。「実は麻婆豆腐が苦手なんだけど、このお店の麻婆豆腐だけは辛ウマで好き!」という知人の口コミで今回の取材が実現した。最初にちょっとした酸味と甘みを感じ、後からピリッとした辛さが追いかけてくる。酸味と感じたものはどうやら山椒のシビレだったようだ。見た目も具もとてもシンプルなのに、とろみの隙間から様々な旨味がひょこひょこと顔を出す。食べ進めるにつれ深い味わいが口いっぱいに充満し、あっという間に完食した。
大人になったら料理人になりたいと願う子どもたちの夢を叶えるお手伝いがしたいとYoutubeで料理動画「元気のでるお料理専門学校」を開校中
プロデューサー兼料理人である代表と、厨房のすべてを任されている料理長。新卒時に大阪で出逢った同期の2人は、将来2人で店を出すことを誓い、15年後に夢を叶えた。店を「楽しく自己表現できる場」と考えている彼らは、料理と同じぐらいエンターテイメント的な感性も大事にしている。そんな田中華の人気No.1が『市民のソウルフード ごますり上手の担々麺(900円)』。三度の飯より担々麺好きと語るスタッフ・ユリさんの舌をも唸らせた一品だ。
大量のごまを手で何度も細かく擦ってつくっている担々麺。だから気泡が出るほど滑らかなスープに! 担々麺に関してはHPからお取り寄せもOK
マスク越しでも伝わる、ごまのやさしい香り。白ごまたっぷりのクリーミーなスープは濃厚なのにサラサラとしていて、喉の奥へスーッと消えていく。細めの縮れ麺はスープとよく絡み、スルスルと口の中へ入っていった。代表の奥さんが無類の担々麺好きで、どの店にも負けたくない意気込みで開発した店の代表作だ。スープの滑らかさが気に入ってすべて飲み干したら、器にスープの細かな気泡が付いていることに気付いた。「まるで、ゴマカプチーノみたい」と独りごちた。
訪れたのは、
093-632-6014
北九州市八幡西区藤田1-6-31
11:30〜O.S.13:30、17:30〜O.S.21:00
https://tanakamenhanten.com
アクセス_「JR黒崎駅」から徒歩約10分
「国分町にある野田の交差点エリアといえば、近年中華の激戦区となっている。「平和楼」出身の徳山さんが営むこちらの店は今年で9年目を迎える
久留米といえば餃子と焼鳥、ラーメンのイメージが強いが、中華食堂「ひすい亭」のことも忘れてはいけない。中華激戦区であるこのエリアで昼は麺料理を主体に営業しているが、中でも麺好きの間で圧倒的な人気を誇るのが『酸辣湯麺(サンラータンメン)』だ。とろみ、ラー油、ネギがのった華やかなビジュアルに、1.5倍はありそうなボリューム。「量が多いかな〜とお話されながらも、一人でペロッと平らげる年配の女性も多いんですよ」と聞き、俄然興味を持った。
食べても食べてもたっぷりと入っている具材は、最後の麺1本を食べ終わるまでずっと器の中で共にあり続けてくれる。配分のバランス力に脱帽!
豊かな酸味と辛味のあるスープが特徴の酸辣湯麺。レンゲでスープをすくい、口に運ぶと…。酸っぱ旨い絶妙な味わいがジュワッと押し上がるように広がったかと思うと、唾液の分泌が急速に活発化。食欲が一気に増進され、箸を持つ手が止まらなくなった。加水を多く含んだ中太の縮れ麺は喉越しが良く、細くカットされた白菜とのバランスがちょうどいい。時々口に入るハムは甘くて箸休めのようだ。スープと具材、麺のコントラストが抜群だったことは言うまでもない。
『担々麺もしくは日替わりの麺&半炒飯セット』は980円。セットの場合、酸辣湯麺は木曜限定だが単品(780円)ならいつ出かけても注文できる
酸辣湯麺だけでもたっぷりのボリュームだけど、ひすい亭ではもっと食べたい欲張りさんのために『麺&半炒飯セット』を昼夜問わず提供。もとはランチ限定だったにもかかわらず、要望があまりにも多くて夜メニューにも組み込んだとか。グリンピース代わりに枝豆が入った彩り豊かなチャーハンは酸辣湯麺に負けない濃いめの味付けで、ネギのシャキシャキとした食感が気持ちいい。ちなみにセットの麺は担々麺以外は日替わりで、酸辣湯麺は木曜のメニューとなっている。
訪れたのは、
0942-21-5019
久留米市国分町1444
11:30〜O.S.14:00、17:30〜O.S.21:00
水曜休
https://tabelog.com/fukuoka/A4008/A400801/40032971/
アクセス_「JR南久留米駅」から徒歩約10分
テーブル席の他に、半個室と個室もある。今回ご紹介するスペアリブは、侑久上海の名を一躍有名にした看板メニューだ!
「侑久上海」のことを初めて知ったのは4〜5年前になるだろうか。仕事仲間の中で侑久上海のスペアリブが流行し、「一度食べてみてよ!」と薦められたことがきっかけだった。味はもちろん、店内の落ち着いた雰囲気も気に入って、以来、友人や両親を誘って何度も出かけている。『鍋焼き麻婆丼』や『五目汁そば』などどの料理もおいしいので、今回取材するにあたりどのメニューを紹介しようかとても迷ったが、ここは原点回帰である『スペアリブ』を選ぶことにした。
スペアリブの下には柔らかく煮込んだ大根があり、この大根とソースの相性も抜群! 売り切れになることが多いので、早めの時間の来店がオススメ
箸でスーッと切れるほど柔らかく、トロットロに煮込んだ骨付き豚のスペアリブ。コレを食べる日はお腹を完全にペコペコにした状態で出かけたい。だってお肉だけでなく、スペアリブの周りの甘辛いソースも絶品でごはんがどんどん進み、「お腹いっぱいだけど、もう1杯ごはんを頼んじゃおうかな〜」と迷いが生じてしまうからだ。ランチ時の『スペアリブ煮込み定食(1280円)』は、ごはんのお替りが1杯まで無料。スープとお漬物、プチデザートが付いてくる。
糸島のフルーツを使ったボリュームたっぷり『杏仁豆腐(ランチ時330円、ディナーでは630円)』。舌滑らかでクリーミーな味わいに満足度大!
今回取材で使用させてもらった個室には、ホテルニューオータニ博多の創業時に料理長として東京から赴任し、上海料理の巨匠として数多くの料理人を育ててきた故・知久知明氏の賞状が飾られていた。店の代表である塚崎さんは、知久さんの愛弟子の一人。侑久の「侑」は人があり続けること、「久」は知久さんから一文字いただいたそうだ。師匠を慕う想いが会話や賞状からさりげなく伝わり、あたたかな気持ちになった。目の前にいる人を笑顔にする中華料理、ここにあり。
訪れたのは、
092-718-3377
福岡市中央区天神3-8-18
11:30〜O.S.14:00、17:00〜O.S.21:30
年末年始休
https://yukyusyanghai.com
アクセス_福岡市営地下鉄「天神駅」・西鉄大牟田線「福岡(天神)駅」から徒歩約10分