大人のライフスタイルコラム

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春は新しい始まりの季節であり、健康的な生活を促進する絶好の機会です。
今回は、花粉症対策を行い、日々を快適に過ごす情報をご紹介します。

クエスチョン

次の衣類の素材の中で、花粉の付着が最も少ないものはどれでしょう?

ウール

化学繊維

綿

画像:花粉症を予防する取り組み

花粉症を持つ人は年々増えています。1998年から2018年までの20年で有病率は2倍以上になリました。最も多い原因はスギで、国民の3人の1人がスギ花粉症です。
目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、抗アレルギー薬による眠気など、さまざまな不調で日常生活に支障をきたします。政府広報オンラインによると、花粉症による生産性の低下は、1日あたり2,215億円の経済的損失を招いているという試算もあります。
そんな社会問題となっている花粉症に対し、政府はスギ人工林を伐採・植え替えして減らす取り組みをしています。
私たち一人一人も、この季節は花粉症を予防する取り組みをすることで発症予防や症状のを軽くすることができます。衣類の工夫もその一つです。

アンサー

では、答えはどうでしょうか。

答えは・・・3の「綿」

花粉の付着率は、綿が100とするとウールは980と約10倍、化学繊維は180で約2倍です。花粉が付きやすい衣類を着て外を出歩いて帰宅すると、自宅内への花粉の持ち込みが増えるので、家の中で花粉症の症状が強くなってしまいます。また、肌の露出が多いとその分体への花粉の付着が増えますので、露出は最小限にすることも必要です。

花粉に関する豆知識

point1花粉が飛散しやすい時間

画像:花粉

日の昇る頃から昼前までが最も多く、昼過ぎは少しおさまります。そして日の入り前後に再び飛散が多くなります。夕方の学校や仕事から帰る時間は、朝に服用した薬の効果が切れてくる時間でもあるため、夕方に目のかゆみや鼻水の症状が辛くなる方も多いようです。

point2花粉症の症状が出やすい時間

花粉の飛散が多い時間と、症状が出やすい時間は同じではありません。特に朝6時前後はモーニングアタックと言って、症状が強く出やすい時間帯です。自律神経が副交感神経から交感神経へと切り替わる時間なので、血管の収縮や拡張が起こってアレルギー反応が起こりやすいと言われています。
さらに、前日に家に持ち帰った花粉が舞い上がること、気温が早朝は下がって寒冷アレルギーを伴いやすいことも影響しているようです。

画像:花粉症

point3雨の日は大丈夫?

雨の日は飛散が少ないからといって、花粉症の薬を飲まなかったり、メガネやマスクをつけるのをやめたりしていると症状が強く出てしまうことがあります。ある調査によると、天候の悪い日でも花粉症の症状は天気の良い日とさほど変わらないようです。
また、雨の次の日は2日分の花粉が飛散するので、通常よりも症状がひどくなりやすいので対策をしっかりしてお出かけしましょう。

画像:雨の日

point4症状が悪化しやすい原因

画像:睡眠不足やストレスのある生活

睡眠不足やストレスのある生活が続いていると、免疫機能が低下するため、アレルギー症状が出やすくなります。また、腸内には免疫細胞が多く存在するので腸内細菌のバランス不良は花粉症を悪化させます。腸内環境を整えるためには、食物繊維と発酵食品を多く摂取しましょう。根菜類、海藻、納豆、ヨーグルトなどがおすすめです。

point5治療薬について

画像:お薬

抗アレルギー薬は症状が出る前から早めに開始するのがひどくならないポイントです。お薬には鼻水を止めるもの、鼻詰まりを解消するもの、点眼薬、点鼻薬などがあります。症状に合わせて病院で処方してもらいましょう。
スギ花粉症の人は、アレルギーの季節が終わってから舌下免疫療法を受けることもできます。毎日舌の下に錠剤を一定時間おいてゆっくり溶かす方法で、数年かけてスギへのアレルギーを根本的に治していきます。

解決のためのワンポイント

花粉症対策のためのワンポイント!

眼鏡とマスクを両方使用する

画像:メガネとマスクを両方使用

メガネとマスクを両方使用すると、鼻の中や目の表面に着く花粉の数をグッと減らすことができます。花粉専用のメガネやマスクを使えば、さらに効果が上がります。 外出時は忘れずに使用して、快適に花粉症の季節を乗り切りましょう。

鼻の中の花粉数 目の中の花粉数
マスク・メガネなし 1848個 791個
通常のマスク・メガネあり 537個 460個
花粉症用のマスク・メガネあり 304個 280個

出典:環境省・厚生労働省の資料より

画像:山下あきこさん
山下あきこ(やました・あきこ)

医学博士、内科医、脳神経内科医、抗加齢医学専門医、産業医、米国神経学会会員。
現在、医療法人社団如水会今村病院に勤務。人々が幸せと健康づくりを楽しむ社会を目指し、診療活動を続けながら執筆やセミナー活動を行なっている。「ホンマでっか!?TV」や「Z I P!」などのテレビ出演も多数。著書に「やせる呼吸」「こうすれば夜中に目覚めずぐっすり眠れる」「死ぬまで若々しく元気で過ごすための賢い食べ方」「『やめられない』を『やめる』本−脱・依存脳」などがある。