健康的な習慣を作るのに有効なのはどっち?
「毎日家族がチェックする」
「続けられたら、ご褒美をもらう」
新しい年の始まりは、健康目標を立てる良い機会です。しかし、せっかくやろうと決めた行動も習慣化できないと、効果は得られません。今回は、あなたの体に変化をもたらす、習慣化のコツについてお伝えします。
では、答えはどうでしょうか。
答えは・・・1の「毎日家族がチェックする」
ハーバードビジネススクールで2016年に行われた実験によると、ベンガル国の3763人の子供達に毎日手を洗う習慣をつけてもらうよう各家庭にソープディスペンサーが配られました。1つのグループ(モニタリング群)は毎日何回手を洗ったのかをチェックされ、もう一方のグループ(インセンティブ群)はおもちゃや食料品のご褒美が用意されました。結果は、インセンティブ群より、モニタリング群の方が23%も多く手を洗っていました。そして、この実験が終わった後もモニタリング群の子供達は手を洗う習慣が続いていました。
この結果には、無意識に人との約束を守ろうとする心理が働いています。これを新年の健康的な習慣化に生かすとしたら、まず身近な人にチャレンジすることを宣言するのがいいでしょう。
他にもコツはある!習慣化に役立つ5つのこと
point1毎日のルーチンに組み合わせる
脳は「いつも通り」が大好きで、「いつもと違う」ことを嫌います。ですから、いつものルーチンにそっと簡単な行動を組みこみましょう。わざわざ忙しい毎日の中で時間を捻出するよりもずっと簡単で継続しやすいはずです。
例)
・歯磨きをするときにスクワットする
・通勤中のエスカレーターを階段に変える
point2気分が上がる要素を取り入れる
どんなに健康に良いことでも、楽しいと思えなくては続けることが苦痛になってしまいます。ポジティブな気持ちで取り組むことは、継続の大きな秘訣です。 あなたがワクワクするようなことを取り入れて、すぐにでも始めたくなるアイデアを探してみましょう。
例)
新しいウオーキングシューズを買う
推しが食べている健康食材を取り入れる
point3周りの人に宣言をする
家族や親しい友人や会社の同僚を巻き込みましょう。あなたは「今年こんなことに取り組みますよ」と宣言するだけでいいのです。人は誰かに話したら、その約束を守って実行しようとする傾向があります。あえて周りの監視の目を光らせ、自分を追い込む方法です。あなたの良き友人や家族なら、暖かく応援してくれるでしょう。
例)
「今より5キロ体重を減らします」
「30分早く寝ます」
「ウォーキングイベントに出場します」
point4記録をつける
習慣化に特化したアプリを使ったり、カレンダーに書き込んだりして、継続できたことを記録しましょう。自分で達成したことを見直すことで、取り組んだ自分を誇らしく思え、ますますやる気が出るでしょう。できなかったところにバツをつける必要はありません。できない日があってもいいのです。しかし、3日以上は開けないように気を付けましょう。間が空きすぎると徐々にやらないことが当たり前になっていきます。
point5一度に取り組む習慣は一つだけにする
1度に始めることは1つまでにしましょう。2つや3つの新しい行動を一度に始めると、脳が重荷に感じてしまいます。例えば、30分早く起きてウォーキングするというのは、早起きと、運動が組み合わせられており、ハードルの高い変化となります。まずは30分早起きして着替えるところから始めて、それが習慣化できたら運動も取り入れるとうまくいきやすいでしょう。
ワンポイントアドバイス!
できたことを振り返る
新年の行動目標についてお伝えしてきましたが、習慣化に取り組んだら、定期的に振り返る習慣を持つことで自分に自信がつき、継続率が高まります。多くの人は、目標を立てたらそのままになっています。月末には毎月を振り返り「何ができたか」を振り返ってみましょう。できなかったことではなく、わずかでも行動を起こしたところに目を向けて下さい。あなたには自分を変化させる力があることに気づくでしょう。
山下あきこ(やました・あきこ)
医学博士、内科医、脳神経内科医、抗加齢医学専門医、産業医、米国神経学会会員。
現在、医療法人社団如水会今村病院に勤務。人々が幸せと健康づくりを楽しむ社会を目指し、診療活動を続けながら執筆やセミナー活動を行なっている。「ホンマでっか!?TV」や「Z I
P!」などのテレビ出演も多数。著書に「やせる呼吸」「こうすれば夜中に目覚めずぐっすり眠れる」「死ぬまで若々しく元気で過ごすための賢い食べ方」「『やめられない』を『やめる』本−脱・依存脳」などがある。