疲労解消に役立つ朝食メニューはどれ?
「プロテイン飲料」
「ご飯と納豆」
「パンとコーヒー」
夏は楽しいイベントが多い季節ですね。しかし一方で、強い日差しや冷房と外気との温度差など、体にストレスを受けやすい季節でもあります。ストレスを完全に避けることはできませんが、回復を早めることはできます。早期に疲労を解消するポイントは、毎日の何気ない習慣の中にあります。
食事、運動、睡眠などのいつもの習慣を見直して、疲れにくい体づくりを心がけてみませんか?
では、答えはどうでしょうか。
答えは・・・2の「ご飯と納豆」
1は、朝食をプロテイン飲料だけで済ませると、タンパク質に比重がかたよってしまい、他の栄養素が不足します。肝臓はタンパク質を代謝するためにビタミンB群を使い果たしてしまい、肝臓でエネルギーを作り出すことができなくなり、疲れやすくなります。長期にわたってこれが続くと脂肪肝の原因になります。3のパンとコーヒーの栄養素は、ほとんどが糖質とカフェインです。糖質は素早いエネルギーとなり、カフェインは交感神経を刺激してやる気と集中力を上げてくれます。しかし、食べた直後は元気がでますが、その効果は長持ちしません。その結果、午前中から疲労や空腹を感じやすくなります。
一方、2のご飯と納豆は、食物繊維、糖質、タンパク質、脂質、塩分などがバランスよく取れます。発酵成分によって腸内細菌も整えられます。ご飯の水分が腸からゆっくり吸収され、体の水分を保ちやすくなります。また、アミノ酸を多く含むため脳疲労を防ぐセロトニンが増加します。
他にもおかずを追加するとなお理想的です。シャケの切り身、卵焼き、魚の佃煮などは、タンパク質や良質な脂質、ビタミンミネラルが豊富です。和食は疲労を予防する最強の朝ごはんなのです。
疲労の回復を早める方法 3つご紹介します
point1日常生活に呼吸を取り入れる
多くの疲労は脳からきています。考え続けて雑念が止まらなくなると、脳が疲弊してしまいます。特に、不安、焦り、怒りなどストレスとなるような考えが繰り返されるとコルチゾールという疲れのホルモンの分泌が高まります。
この脳疲労をとるのに役立つのが、「意識的な呼吸」です。普段行っている無意識な呼吸ではなく、意識的に呼吸をし、「今息を吸っているな、吐いているな」と呼吸をしている自分を丁寧に観察するのです。長くゆっくり呼吸しようとか、何秒で吐こうとか、頑張る必要は一切ありません。ただ、自分の呼吸を観察するだけでさまざまな考え事から一旦離れることができます。すると、回転し続ける脳の働きを止め、脳疲労の回復を高めることができます。
ちょっとした待ち時間や、仕事合間に数回でも自分の呼吸に意識を向けて、心を整えてみましょう。
point2室内の階段を利用して涼しく運動
疲れた時には、ただ横になったりじっとしたりするよりも、思い切って少し動いてみると疲れが軽減することがあります。
そうはいっても、この暑さでは運動どころではないと感じる人も少なくないでしょう。そこでおすすめなのが屋内の階段がある施設で、エスカレーターやエレベーターを使わずに階段を利用してみることです。日差しを避けることができ、適度な空調のおかげで汗をかきすぎて脱水や熱中症になるリスクを下げることもできます。
暑すぎて屋内でじっとする時間が増え、運動不足が続くと筋肉量が減り、筋肉のパワーも下がります。その結果、さらに疲れやすい体になってしまいます。日頃から骨や筋肉を使うようにし、回復しやすい体づくりを心がけましょう。
point3寝る前のデジタルデトックス
スマホを長時間使い続けることで、脳はフル回転を続けて疲労状態になります。その結果、記憶力が低下したり、イライラしやすくなったり、睡眠が障害されたりします。スマホから離れる時間、つまりデジタルデトックスを日常的に取り入れることで脳の過労を防ぐことができます。
寝る前や起床時にアラームのセットや停止の際、そのままスマホを見てしまいませんか?脳の疲れを防ぐために、スマホを目覚まし時計に変え、充電も寝室以外の場所で行いましょう!
デジタルデトックスを成功させるためのワンポイントアドバイス
目覚ましアラームは、スマホではなく置き時計に
スマホを寝室ではないところで充電すると、寝る前や起床時にアラームのセットや停止のついでについスマホを見続けて脳が疲れてしまうのを防止できます。
山下あきこ(やました・あきこ)
医学博士、内科医、脳神経内科医、抗加齢医学専門医、産業医、米国神経学会会員。
現在、医療法人社団如水会今村病院に勤務。人々が幸せと健康づくりを楽しむ社会を目指し、診療活動を続けながら執筆やセミナー活動を行なっている。「ホンマでっか!?TV」や「Z I
P!」などのテレビ出演も多数。著書に「やせる呼吸」「こうすれば夜中に目覚めずぐっすり眠れる」「死ぬまで若々しく元気で過ごすための賢い食べ方」「『やめられない』を『やめる』本−脱・依存脳」などがある。