疲労回復に役立つ方法は?
「朝、ウォーキングする」
「毎晩、少量の飲酒をする」
「休日は早起きせず、睡眠確保を優先する」
日々の仕事や家庭の中でさまざまなストレスを感じることがありませんか?
ストレスによるダメージは自律神経のバランスを崩し、それが脳や内臓に影響を与えます。
自律神経には、戦うモードの交感神経とリラックスモードの副交感神経があります。多忙、緊張、不安、怒りなどによってストレスを感じると、交感神経が過剰に働いて疲労を強く感じます。一方、リラックスモードの副交感神経が優位になり過ぎても、やる気が起こらずストレスを感じやすくなります。
ストレスを避けることは難しくても、回復力を高めることはできます。回復する力を高めるには、自律神経を整える方法を知って実践してみましょう。
では、答えはどうでしょうか。
答えは・・・1の「朝、ウォーキングする」
お酒を飲むとアルコールによって睡眠が浅くなり、夜間の自律神経が乱れてしまうため、疲れが残ってしまいます。疲労回復のためには、飲酒は逆効果なのです。
平日は睡眠時間が少なく、休日は昼まで寝るという人もいるでしょう。しかしこれも逆効果です。社会的時差ボケと言って、普段の体内時計と大きくずれた生活をすると、自律神経が乱れるのです。
おすすめは、朝の日光を浴びながら5〜15分程度ウォーキングすることです。日光浴とリズミカルな足の動きによって、心を安定させてくれるセロトニンホルモンの分泌が増加します。
今回は日々の疲労回復に有効な朝ウォーキングについて、意外と知られていないポイントをご紹介します。
point1イヤホンをつけない
サイレントウォーキングという散歩のスタイルが、最近イギリスの若い世代で広がっています。
ただ単にイヤホンをせずに歩くというシンプルな方法です。まだスマホが普及していなかった頃はこれが普通でしたが、今は多くの人が日常的に音楽やポッドキャストを聴きながら歩いています。
イヤホンからの情報に集中してしまうと、周りのことに意識が向きにくくなります。鳥の声、咲いている花、風の気持ちよさなど、自然の小さなプレゼントにも気づかなくなります。自然から受け取る感覚は心を穏やかにし、自律神経の調整にも役立ちます。
歩くときは貴重な疲労回復の時間です。ただ、「今ここ」を感じて歩いてみませんか?
季節の移り変わりや小さな幸せを発見しながら、ウォーキングを楽しみましょう。
point2緑が多い場所を選ぶ
オフィスで緑が見える割合を10−15%にすると、社員のストレスが軽くなり、業績も上がるという研究結果があります。
また、緑の多い地域に住んでいる人の方が、そうでない地域に住んでいる人に比べて、健康でいられる確率が高いという結果もあります。
つまり、緑の多い環境はメンタルヘルスに良く、病気の予防にもなるのです。
朝の散歩ルートを選ぶ時は、自然がたっぷりある場所を選んでみるのはいかがでしょうか。
木々が風に揺れる音を聞いたり、木漏れ日を感じたり、新緑の輝きを眺めながら歩くと、心も体もリフレッシュして気持ちよく1日をスタートできるでしょう。
point3胸を張って、微笑んで歩く
姿勢をピンとするだけで、ストレスは軽減します。体を縮こませる姿勢よりも、胸をはってスッと立つ姿勢の方が、ストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールの量が下がるのです。それから、笑顔になることも重要。口角を上げると、脳がこれを受けとめて、「いい気分だね!」と認識します。歩いている時も、姿勢や表情に意識を向けてみましょう。もし肩が丸くなってたり、表情が暗いなと気付いたらすぐに直しましょう。笑顔で前向きに歩けば、その日のスタートをさわやかに切れるでしょう。
歩きに行けないけど、
疲労を回復したい。
そんな時のワンポイント!
炭酸水を飲む
炭酸水に含まれる二酸化炭素にはリラクゼーションをもたらす効果があります。 さらに、レモン果汁を入れることで効果が高まります。酸っぱいもので唾液が分泌されると副交感神経が刺激され、高まり過ぎた交感神経の活動を緩めてくれるのです。 炭酸水を選ぶときは、糖分が多く入っていると血糖値の急上昇と急降下によって逆に疲労することもあるのでご注意ください。
山下あきこ(やました・あきこ)
医学博士、内科医、脳神経内科医、抗加齢医学専門医、産業医、米国神経学会会員。
現在、医療法人社団如水会今村病院に勤務。人々が幸せと健康づくりを楽しむ社会を目指し、診療活動を続けながら執筆やセミナー活動を行なっている。「ホンマでっか!?TV」や「Z I
P!」などのテレビ出演も多数。著書に「やせる呼吸」「こうすれば夜中に目覚めずぐっすり眠れる」「死ぬまで若々しく元気で過ごすための賢い食べ方」「『やめられない』を『やめる』本−脱・依存脳」などがある。